ヒゼンダニによる感染症「疥癬」
疥癬(かいせん)とはヒゼンダニ(疥癬虫)という、とても小さなダニの一種が人の皮膚に寄生して、かゆくなる皮膚の病気です。最近では高齢者施設、病院、療養施設で流行することがあります。
他の人へ感染していく病気で、通常疥癬と角化型疥癬の2種類があります。
角化型疥癬は通常疥癬とは異なり、100万~200万匹と数が多く、感染力の高い症状をいいます。
通常疥癬 | 角化型疥癬 | |
---|---|---|
ヒゼンダニの数 | 数十匹 | 100万~200万匹 |
患者さんの免疫力 | 正常 | 低下している |
感染力(他人へうつす力) | 弱い | 強い |
主な症状 | 赤いブツブツ 疥癬トンネル(※) | 厚い垢が増えたような状態 (角質増殖) |
かゆみ | 強い | かゆみを感じない場合もあり、 人によりかゆみの強さが異なる |
症状が出る部位 | 顔や頭を除いた全身 | 全身 |
(※)疥癬トンネル:表皮角層で横方向に繁殖を続け、線状にトンネルを掘って感染箇所を広げていく症状のこと
通常疥癬
感染経路
通常疥癬では、長い時間、肌と肌、手と手が直接触れることで、ダニが移動して感染します。感染している人が使用した寝具などをそのまま他の人が使用することで、感染することもあります。
潜伏期間
通常疥癬の患者さんから感染した場合、すぐには症状が出ないが感染から約4~6週間でダニが増殖し、かゆみが出てきます。
角化型疥癬
感染経路
角化型疥癬では、人の皮膚に短時間、接触するだけで感染します。
また、衣類や寝具を通して感染し、ダニが潜んでいる皮膚から剥がれ落ちたあかが付着することでも感染します。
潜伏期間
角化型疥癬の患者から感染した場合、初めから多数のダニが移るので、1週間もかからず症状が出ることがあります。角化型疥癬の患者さんから移っても、まずは通常疥癬として発症します。
診断方法
症状がある部位からピンセットやハサミを使って皮膚の角質を一部取り、顕微鏡で虫体や虫卵を確認します。
治療
治療では塗り薬や飲み薬を使用して、ヒゼンダニを退治します。
塗り薬を使用する際には、感染箇所以外の場所も含めて、全身にくまなく塗ってください。
特に手足や外陰部には念入りに塗ってください。
飲み薬はイベルメクチン(製品名:ストロメクトール錠)が有効です。かゆみの症状には、かゆみ止めの飲み薬を使用します。
疥癬が発症した場合、ご家族や同じ場所で寝泊りした方も検査を行っていただくことをお勧めいたします。