手足や首にできる、気になる「イボ」の種類と治療
「イボ」とは、皮膚から盛り上がっている小さなできもの一般を指す俗語です。ウイルスの感染によるウイルス性疣贅(ゆうぜい)・水イボ(伝染性軟属腫)、その他に老人性イボ(スキンタッグ、アクロコルドン、脂漏性角化症)があります。
傷口からの感染が原因?ウイルス性のイボ
「ヒトパピローマウイルス」というウイルスの一種は、正常で健康な皮膚には感染できませんが、小さな傷があると、そこから皮膚に感染して増殖、表面が小さく盛り上がりイボを形成します。足の裏では、体重に押されたために盛り上がることはありませんが、魚の目状または多発して敷石状になります。顔面や首では、先端がとがった細長い突起物になることがあります。
尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい:外傷を受けやすい手足、皮膚の弱いお子様の皮膚にできやすい傾向があります)、扁平疣贅(へんぺいゆうぜい:顔や手の甲によくみられる平らで皮膚と同じ色をした目立ちにくいイボです)、尖圭コンジローマ(外陰部などにできるイボで、性感染症の一種です)があります。
<治療法は豊富。症状に合わせて最適な治療法をご提案いたします>
- 液体窒素による冷凍凝固療法
- -196度という超低温の液体窒素を綿棒などに染み込ませて、患部を急激に冷やすことにより、皮膚表面の異常組織(ウイルスが感染した細胞など)を壊死させ、新たな皮膚の再生を促す治療法です。1週間から2週間毎に繰り返します。なるべく痛みを伴わないように工夫いたします。
- 薬品を塗布し、皮膚を腐食させていく方法(子どもに多いです)
- 痛みを伴う冷凍凝固療法が不可能な方、特に子どもに行うことが多い治療です。
1週間から2週間毎に繰り返します。 - 多発するイボ、治りにくいイボにはヨクイニン内服
- 多発するイボや治りにくいイボには、漢方薬であるヨクイニンという内服薬を処方いたします(保険治療)。
- ビタミンD3の塗り薬による治療
ウイルス性のイボは、治療が遅れると他の部位に移ったり、より大きく深く拡大してそれだけ治療期間が長引きます。小さく浅いうちに早めに治療することをお勧めします。完治するまでには少し時間がかかります。気長に根気よく治療していきましょう。
表面がツルツルした瑞々しいイボは「水イボ」
伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)と呼ばれるウイルスの感染により生じる、表面がツルツルとしたみずみずしい光沢のあるイボです。自覚症状がない場合や、少しかゆいことがあります。お子様にできることがほとんどです。皮膚が乾燥してバリア機能が低下していると多発したり、子ども同士でうつしあうこともあります。このウイルスに対する免疫を獲得するとイボはできなくなります。
<水イボの治療>
- リングピンセットで水イボをつまみ、中のウイルスの塊を取り出す
- 冷凍凝固療法
- 薬品の塗布
免疫ができれば自然に治ることもあるため、放置してもよいとの意見もありますが、その間に拡大したり、他部位へ感染して数が増えたり、かくことでとびひを引き起こしたり、子ども同士で感染が広がってしまうこともあるため、なるべく数の少ないうちに治療した方が良いと考えます。状況に応じて柔軟に治療方針を決めていきたいと思います。貼るタイプの局所麻酔剤や、その他の工夫を行いなるべく痛みやストレスのない治療を心がけて参ります。
中高年にできやすい首イボや褐色調のイボ
首のイボ(アクロコルドン)
首にたくさんできてくるイボの多くはウイルス感染が原因ではなく、アクロコルドンと呼ばれる非感染性のものです。
中高年以上にできやすいですが、20歳代の若者にできることもあります。
治療は-196度の超低温の液体窒素による凍結療法で脱落してきます。
褐色調の表面がザラザラとしたイボ
顔面・頭部・前胸部・背部によくみられる褐色調で表面がザラザラとしたイボは脂漏性角化症(老人性疣贅:ろうじんせいゆうぜい)です。20歳代から出現し80歳以上の高齢者ではほぼ全員に見られ、時々かゆみを伴うこともあります。治療は保険治療では液体窒素による凍結療法を行います。
よくある質問Q&A
- イボは、治療後再発する可能性はありますか?
- ウイルス性のイボの場合、増殖したり転移する可能性がありますので、再発する場合があります。
老人性イボの場合は再発することはほぼありません。 - イボは他の人に感染することはありますか?
- 水イボの場合、他の人に感染することがあります。
ご家族に水イボの方がいる場合、タオルや足拭きマットなどの共用は避けるようにしましょう。